皆さんはじめまして!梶の木内科医院 医師の片野です。
この度、満を持して「熱血!内視鏡Drコラム」をスタートいたしました。
私は、これまでに、へき地・地域医療を担う病院で総合内科医として、また、高度な専門性を要求される大学病院や救急医療を担う地域の基幹病院にて消化器内科専門医として勤務してまいりました。とくに消化器内視鏡において、数多くの早期がんを発見し、内視鏡治療を行ってきました。
近年の内視鏡技術の進歩に伴い、早期がんに対しては内視鏡的治療で根治が可能な症例も増えていまが、早期がんであっても、少し進行し外科手術が必要となる場合もあって、「もう少し早く内視鏡検査を受けていただいていれば・・・」と思う患者様も多く経験してきました。
そこで、消化器内視鏡専門医の立場から、皆様に消化管内視鏡検査を少しでも理解していただき、これまで内視鏡検査を受けたことがない方や不安に思っている方にも、安心して検査を受けていただきたいという想いを込めて、このコラムを始めました。
これから、皆さんに「おなかの病気」とくに胃と腸に関係するいろいろなお話をお届けしていきますね。
そもそも「なぜ内視鏡検査が必要なの?」という方もいらっしゃいます。そこで、まずは「内視鏡検査とは?」や「胃カメラと内視鏡の違いは?」「他の検査との違いは?」「どのような人に検査が必要か?」ということからお話を始めます。
「上部消化管内視鏡検査」とは?
- 「内視鏡検査」と「胃カメラ」の違い
「上部消化管内視鏡検査」は、通称「胃カメラ」とも呼ばれます。現在においては、胃カメラといっても内視鏡検査のことを意味するため、「胃カメラ」も「内視鏡検査」も同じ検査のことを表します。
歴史的な開発の経緯からは、厳密にいえば「胃カメラ」と「内視鏡」は異なる技術です。
「胃カメラ」とは本来は1950年に日本で開発されたフィルム式のカメラで胃内を撮影する機器のことです。
当時は撮影したフィルムを後で現像し、写真を観察するという方法でしたので、直接胃内をリアルタイムで観察することはできませんでした。
その後、光を伝送する「ファイバースコープ」が開発され、胃内を直接観察できるようになり、さらにCCDカメラが組み込まれた「ビデオスコープ(電子スコープ)」が登場、画像を処理するシステムやハイビジョンモニターとの組み合わせによって、今も、「内視鏡検査」の画質は飛躍的に向上し続けています。
最初にお話しした通り、現在においては「胃カメラ」といっても「内視鏡検査」といっても同じ「胃内を観察するための内視鏡検査」のことを表現するために用いられており、両者に違いはありません。皆様にとっては「胃カメラ」という方がなじみ深いかもしれませんし、医師の側もわかりやすいので「胃カメラ」という言葉を好んで用いることも多いです。ですから、「胃カメラ」と伝えたとしても、1950年代の極太で硬いフィルム式カメラが出てくることはなく、梶の木内科医院では最新のEVIS X1システム(オリンパス社製)を用いた高精細の極細径(先端径5.4㎜ !!)の内視鏡で検査を行いますので、ご安心ください!
次回は、内視鏡検査のメリットについて、お話していきますね!