帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)ウイルスによる感染症です。小児の頃に水痘に感染した後に、ウイルスが体内の神経節に潜伏し、後に、加齢や悪性腫瘍、膠原病などの免疫力の低下をもたらす疾患や抗がん剤や免疫抑制剤の使用中に、ウイルスが再活性化して症状を引き起こすのです。
それでは、帯状疱疹はそもそも、どんな合併症が起こるのでしょうか?
帯状疱疹の合併症や後遺症は、重篤なものから順に以下のようになります:
- 帯状疱疹後神経痛: これは帯状疱疹の最も一般的な後遺症で、発疹が治癒しても、神経に沿った激しい痛みが残る状態です。この神経痛はしばしば長期間にわたり持続することがあり、痛みのために寝られないとか、体を動かすだけで痛いなど、生活の質を低下させることがあります。
- 中枢神経系への感染: 帯状疱疹が中枢神経系(脳や脊髄)に侵入することがあり、脳炎や髄膜炎を引き起こす可能性があります。これらの合併症は命にかかわる重篤な状態となることがあります。
- 眼の合併症: 帯状疱疹が眼の周囲に発疹を引き起こすと、角膜や結膜に影響を与える可能性があります。また、角膜炎や網膜炎などの合併症が生じると、視覚障害や失明などのリスクが高まります。
- 聴神経炎: 帯状疱疹が耳の周囲に発疹を引き起こすと、聴神経に影響を及ぼす可能性があり、これにより、難聴やめまいなどの症状が発生することがあります。
- 皮膚感染症: 帯状疱疹の発疹が二次的な細菌感染を引き起こすことがあります。皮膚が細菌に感染すると、赤み、腫れ、膿などの症状が現れることがあります。
帯状疱疹の合併症や後遺症は個人によって異なりますが、これらの合併症は早期に適切な治療を受けることで軽減できる可能性があります。したがって、症状が現れた場合は、すぐに医療専門家に相談することが重要です。
また、これらの重篤な合併症を引き起こす帯状疱疹の予防のためには、帯状疱疹ワクチンの接種が大切です。
岐阜県可児市 梶の木内科医院
[総合内科専門医・腎臓専門医・小児科・アレルギー科] 院長 梶 尚志