胃カメラでつらい思いをしたくない方へ
胃腸科

胃腸科

消化管は、私たちが日々の生活で摂取する飲み物や食べ物を消化して栄養を吸収し、不要なものを排出する重要なパートナーです。この消化管は絶え間なく活動しており、外部からの影響を受けやすい臓器でもあります。そのため、さまざまな病気にかかりやすいのです。例えば、食べ物やストレス、環境の変化などが原因となって、消化管のトラブルが生じることがあります。

梶の木内科医院では、消化器内視鏡専門医・消化器病および胃腸科専門医が、患者さまの胃や大腸を含む消化管の健康をサポートいたします。患者さま一人ひとりの症状に適切に対応し、丁寧な診察と治療を提供しています。

このページでは、梶の木内科で注力して診療を行っている「内視鏡による診断・治療」「炎症性腸疾患」「慢性下痢・便秘症」についてご紹介いたします。

食事をする女性

当院の内視鏡について

つらくない内視鏡で
早期発見・正確な診断に基づく治療

経験豊富な熟練の消化器内視鏡専門医により「つらくない内視鏡」を実現し、患者さまにやさしい診療を心がけています。

消化管の症状をきたす背景には、食道がん・胃がん・大腸がんなどの悪性疾患だけでなく、逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、細菌やウイルス感染による感染性胃腸炎、機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)、過敏性腸症候群などの多彩な疾患が潜んでいます。内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)によって消化管の内部を直接観察することが、早期発見・正確な診断に必要です。そして、それに基づく適切な治療によって、症状を改善させることにつながるのです。

早期のがんでは症状がほとんどありません。「たぶん大丈夫だろう」と安易に放置せず、何か気になる症状があれば、早めにご相談ください。

片野 敬仁の写真

胃内視鏡検査のご案内

胃痛・胃もたれ感や胃酸の逆流症状、ゲップ、胸やけが気になる方、健康診断で精密検査を勧められた方や、ご家族に胃がんやピロリ菌感染の既往がある方は、胃内視鏡(胃カメラ)をおすすめします。
当院ではオリンパス社の先端外径5.4㎜の極細径内視鏡スコープを導入し、NBI(狭帯域光観察)を併用することによって、より精密な観察と患者さまへのやさしさを実現しています。
挿入ルートも経鼻ルート・経口ルートから患者さまにお選びいただけます。検査直前には楽に検査を受けていただく体位の指導や声掛けを医師が行い、消化器内視鏡専門医の技術を駆使して検査を行います。

当院の胃内視鏡検査の詳細は、以下よりご確認ください。

大腸内視鏡検査のご案内

内視鏡専門医による苦痛の少ない、安全で確実な大腸内視鏡検査を行っています。
日帰りでの大腸ポリープ切除も行っています。
最新鋭のスコープと、内視鏡専門医の技術により、苦痛が少なく、迅速かつ正確な診断・治療を提供しています。ご希望の方には、鎮静剤(リラックスできる薬)を使用しての検査も行っています。

大腸のことで気になる症状がある方は、早めに受診いただき、相談していただくことをお勧めいたします。

こんな症状がある方は
一度ご相談ください
(内視鏡検査をお勧めします)

胃の症状・お悩み

  • 朝起きたときに、胸やけや胃もたれの症状がある
  • 吐き気やげっぷの症状がある
  • のどの違和感や胸がつかえる感じがある
  • 胃もたれや胃痛(上腹部やみぞおち辺りの痛み)がある
  • ダイエットをしていないのに体重が減少している
  • 日常的にお酒を飲むことが多い(アルコールで赤くなる)
  • 喫煙の習慣がある
  • 健康診断で貧血、ピロリ菌、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など指摘された
  • 胃のバリウム検査で異常を指摘された
  • 家族に胃がん罹患者がいる
  • 40歳を過ぎても胃カメラを受けた経験がない

大腸の症状・お悩み

  • 排便時に出血がある
  • 血の混ざった便が出た
  • 便秘・下痢の症状を繰り返している
  • 便が細い(残便感がある)
  • 健診で貧血を指摘された
  • 短期間で急激な体重減少がある
  • おなかの調子が悪い(腹痛、腹部膨満感など)
  • 便潜血反応が陽性だった
  • 過去の検査で大腸ポリープが見つかった
  • 家族に大腸がん罹患者がいる
  • 40歳をすぎて、大腸内視鏡検査の経験がない

ヘリコバクター・ピロリ感染症に
ついて

ピロリ菌に長年感染すると、慢性胃炎が進行して萎縮性胃炎となり、最終的に胃がんが発生しやすくなります。
「日本ヘリコバクター学会ガイドライン2009」にて、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌は胃・十二指腸潰瘍の治癒だけではなく、胃がんの予防にもつながり、すべてのヘリコバクター・ピロリ菌感染症を除菌治療の適応として推奨されました。

胃カメラ検査にて胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断を受けた方は、ピロリ菌の検査と除菌を受けましょう。
ピロリ菌は専用のお薬を飲むことで除菌できます。
ピロリ菌除菌療法は基本的には保険適応となりますが、以下の方は自由診療の「ヘリコバクター・ピロリドック」による除菌療法の対象となります。

「ヘリコバクター・ピロリドック」の
対象となる方

  • 人間ドックや健康診断でピロリ菌が陽性と診断されていても胃カメラを受けていない方
  • 胃カメラ検査を受けずに1回目の除菌療法を受けた方の除菌確認検査
  • ペニシリンアレルギーがある方で、除菌療法を受ける方
  • 保険診療での1次・2次除菌治療で除菌不成功で、3次除菌療法を受ける方
  • 胃潰瘍と十二指腸潰瘍、慢性胃炎を合併していない方

炎症性腸疾患(IBD)診療のご案内

炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease)は再燃・寛解を繰り返し、慢性に持続する腸管の炎症性疾患の総称です。IBD(アイビーディー)とも呼ばれ、狭義には潰瘍性大腸炎とクローン病の2つの疾患のことを指します。
IBDはいまだに原因は解明されていませんが、遺伝的な素因に食事や感染などの環境因子が関与し、腸内細菌叢や消化管免疫制御機構の異常をきたして発症すると考えられています。

IBDの領域における近年の治療の進歩は目覚ましく、多くの治療薬(生物学的製剤・低分子化合物)が登場しています。これらの薬剤によって、以前は入院や外科的手術を余儀なくされたような症例でも、外来で寛解導入・長期の寛解維持ができるようになっています。
梶の木内科医院の胃腸科では、一人ひとりに合わせたIBDの治療をご提供いたします。

片野 敬仁の写真

梶の木内科のIBD治療理念

-患者さまと医療者が共に歩む-

IBDの治療は、活動期に速やかに寛解導入療法を行い、寛解導入後は寛解維持療法を長期にわたり継続することが重要です。再燃・寛解を繰り返すサイクルを断ち切り、長期に症状を安定させるためには、症状の改善だけでなく、内視鏡的な粘膜治癒、さらには顕微鏡レベルでの炎症制御の重要性も報告されています。

新規薬剤の登場により治療薬の選択肢が増えているものの、どの治療薬もすべての患者さまに効果があるわけではありません。また、効果が減弱した際の見極めも大切です。

梶の木内科のIBD治療においては、患者さまとの信頼関係を築き、共に歩むことを大切にしています。患者さまのライフスタイルや価値観を尊重し、個々の意向や希望に寄り添いながら、適切な医療を提供しています。治療をおしつけるのではなく、患者さまとの対話を通じて共同で治療方針を決定し、それを実行しています。これは「Shared Decision Making」と呼ばれる患者さまと医療者が協働で意思決定するアプローチであり、患者さまの健康と幸福を最優先に考えた医療を提供することを目指しています。

潰瘍性大腸炎

厚生労働省が指定する難治性の炎症性腸疾患の一つです。大腸の粘膜に炎症が起き、びらん(粘膜のただれ)や潰瘍(粘膜の欠損)ができる慢性の疾患です。特徴的な症状としては、下痢や血便、腹痛です。腸管以外の合併症として、眼や皮膚・関節などの症状が出現することもあります。

近年、日本での患者数は増加傾向にあり、国内での潰瘍性大腸炎患者は20万人以上とされています。原因は十分には解明されていませんが、遺伝的な素因に食事・衛生環境などの環境要因が関わり、腸内細菌のバランスや腸管の免疫システムに異常が生じ、大腸の粘膜に持続的な炎症が起こると想定されています。20代の比較的若年で発症する人が多いのですが、50代以降で発症することも珍しいことではなく、小児から高齢者まで幅広い年齢層で発症します。

難病に指定されていますが、適切な治療によって症状をコントロールすれば、発症する以前に近い形で日常生活を送ることが可能です。内科的治療によって、症状の改善や消失(寛解)が認められても、治療の中断により再発・再燃する場合も多く、寛解を維持するために継続的な内科治療が必要です。また、発病してからの年数が経過すると大腸がんを合併するリスクが高くなるとされ、症状がなくても定期的に大腸内視鏡を受けていただくことが勧められます。重篤な症例や内科的治療に反応しない症例では外科的手術が必要となる場合があります。

クローン病

クローン病は、消化管の粘膜にびらん(粘膜のただれ)や潰瘍(粘膜が欠損すること)を引き起こす慢性の炎症性疾患です。1932年に限局性回腸炎としてはじめて報告したクローン医師の名前からつけられた病名です。

クローン病は10~20歳代の若年で発症することが多く、原因についてははっきりとは解明されていません。日本では難病の1つに指定されており、日本の推定患者数は2014年には7万人程度で、患者数は増加し続けています。世界的にみると、先進国に多く欧米で高い発症率を示していましたが、日本での患者数は増加の一途であり、食生活や生活環境の欧米化も原因の一つと考えられています。

口腔にはじまり肛門にいたるまでの消化管のどの部位にも病変が起こりえますが、主に小腸と大腸を中心とし、非連続性の病変(ところどころに正常部分が存在すること)が特徴です。主な症状には、腹痛や下痢、血便、発熱、体重減少などがあります。肛門付近の痛みや腫れなどで発症することもあります。腸管の狭窄や瘻孔などさまざまな合併症を起こすことがあります。また、眼や皮膚・関節など腸管外にも症状が出現することがあります。

クローン病の治療としては、栄養療法や炎症や免疫のはたらきを抑える作用のある薬を用いた薬物療法の内科的治療が主体となりますが、腸管の狭窄や瘻孔に対しては手術が必要となる場合もあります。

慢性下痢・便秘症について

消化器病専門医・胃腸科専門医により、診療ガイドラインに基づいて適切な治療法を提案します。

便秘・下痢の便通異常をきたす疾患は多数あります。大腸がんなどの悪性疾患や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の器質性疾患の鑑別のためには、大腸内視鏡検査で直接腸管の粘膜を確認することが有用です。症状のある方には大腸内視鏡検査を積極的にお勧めします。

薬剤性や症候性(糖尿病や甲状腺疾患など)の二次的な症状としての便秘・下痢の可能性もあります。原因となる薬剤や疾患のない機能性便秘・下痢の中に過敏性腸症候群(IBS)があります。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群はIBS(Irritable Bowel Syndrome)とも呼ばれ、腸に異常はないのに、腹痛や便秘・下痢などの便通異常を慢性的に繰り返す病気です。
少なくとも6ヵ月以上前から症状があり、最近の3ヵ月間に週1回以上のペースで腹痛があり、次の3つのうち2つ以上が当てはまる場合、IBSと診断されます。

  • 排便と症状が関連する
  • 排便回数が変化する
  • 便の形状(外観)が変化する

IBSは感染症の後に発症したり、ストレス、腸内細菌叢の変化、消化管の粘膜透過性の亢進などが関係しているのではないかと考えられています。

症状の内容によって、下記の4タイプに分けられます。

過敏性腸症候群は命を脅かす病気ではありませんが、QOL(Quality of life:生活の質)の低下を招きます。薬物療法や生活習慣の改善などにより、症状を改善することは可能ですので、症状でお困りの方はお気軽に当院までご相談ください。

慢性的な下痢や便秘でお困りの方には、
腸内細菌叢(腸内フローラ)が乱れている可能性があります。

片野 敬仁
担当医師
片野 敬仁KATANO TAKAHITO
担当科
内科、胃腸科、内視鏡科