こんにちは。坂井です。
今日は糖尿病の血糖コントロールと合併症についてのお話です。
糖尿病はすぐには自覚症状が出にくい病気ですが、治療せずにそのまま放置してしまいますと将来合併症が色々出てきてしまう病気です。
当院の患者様ではありませんが以前担当した患者様で若い頃より糖尿病を患っており私が担当した頃には既に糖尿病の様々な合併症が出てきていました。まだ50代の若さでしたが眼の合併症のためほとんで目が見えず、腎臓が悪くなって透析に通っておられ足の炎症がなかなか治らず足を切断しなくてはならないかもしれないという状態で日常生活もとても不便に過ごしておられました。もしも若い頃よりもっと血糖コントロールをしっかり出来ていたらきっと違った結果になっていたはずです。糖尿病の合併症はある程度進行するともう出現してしまったものをすっかり元に戻すことは不可能なこともあるのです。そのため、糖尿病の初期の頃より良好な血糖コントロールを維持し合併症を起こさないことがとても大切です。
糖尿病の患者様にはみなさんご自身の血糖コントロールの指標であるHbA1cがいくつかなのか知っていて欲しいと思います。
他院からの転院でいらっしゃった患者さんの中にはご自身のコントロールを全く知らない方もみえますが、ご自身の血糖コントロールを知ることはとても大切です。
ご自身の糖尿病のコントロールの現状を知って頂き、現状維持でいいのか、改善する必要があるのかを把握して頂きたいと思います。コントロールの指標は合併症を起こさないようにするため概ねHbA1c7.0%未満を目標にすることが多いですが、治療内容や年齢等により異なることもあるのでぜひ主治医の先生に確認してみて下さい。当院では糖尿病の診断がついた方には糖尿病連携手帳というのをお渡ししています。
この手帳を毎回持参して頂き、HbA1cや血糖値、血圧や体重を記録していきます。
また血糖コントロールのみではなく、糖尿病の重大な合併症である糖尿病腎症や糖尿病網膜症がどのステージにいるのかを知ることも大切です。当院では定期的に血液検査や尿検査で糖尿病腎症第何期であるのかを確認し患者さんにも結果を伝えています。糖尿病網膜症は目の合併症ですが、眼科さんでしか検査が出来ませんのでかかりつけの眼科をもつようにお話したり必要があれば近隣の総合病院の眼科にご紹介したりしています。それぞれの合併症については別の機会に詳しくお話出来たらいいなと思います。
糖尿病の血糖コントロールを良くするような食事習慣や運動習慣で糖尿病以外の高血圧症や高脂血症等の他の様々な病気になりにくくすることが可能です。糖尿病という病気をきっかけに生活習慣が良くなり糖尿病になったからむしろ元気で長生き出来たんだという素敵な未来が得られるように患者様と歩んでいけたらいいなと思います。